決算書の読み方?! 損益計算書の基礎(後編)

今回のコラムは、決算書の読み方についてご紹介したいと思います。

基礎編として損益計算書についてお話します。

・これから起業を考えている方

・経営の基礎知識を身に付けたい方

・決算書など数字に強くなりたい方

当てはまるそこの貴方、是非お立ち寄りください!



「ビジネスモデルとは?」のコラムでは、 儲けの仕組み(資金の循環システム)の考え方をご説明しましたが、 決算書を読むことで、より詳しく資金循環の状況を把握することが可能となります。

決算書が読めるようになることで、 経営状況を客観的に見ることができたり、 改善策を検討するヒントを見つけることができるようになります。

センスや勘(カン)で業績を上げられる経営者でなくても、 数字に強くなることで賢く経営を続けることが可能になります。

ご興味のある方はこちらのコラムもご覧ください。



前編では、売上高から営業利益までご説明しましたが、 この後編では、以下についてご説明します。

・経常利益

・当期純利益

・雑貨屋さんの損益計算書



損益計算書のおさらい

損益計算書は、PL(ピーエル)と呼ばれることもあります。 PLは、Profit and Loss statement の略で、 Profit(利益)とLoss(損失)を示した表です。 収入や支出がいくらで、どれだけ儲かっているのかを示めしている表です。

別のコラムで紹介した貸借対照表は、ある時点での資産と負債等の一時的な状況を表しているのに対して、損益計算書はある時点からある時点までの期間(通常は1年間)の収入や支出がいくらで、どれだけ儲かっているかを示しています。

まだ見ていない方はこちらのコラムもご覧ください。



それでは、損益計算書(前編)の続きをご説明します。



経常利益

経常利益は、経常(けいつね)とも言われることもあり、以下の計算式で求めることができます。

営業利益+営業外収益ー営業外費用=経常利益



営業活動で得た儲けである営業利益から営業に関係のない損益を加減算した後の儲けが経常利益となります。

営業外収益には、受取利息や補助金などの雑収入が含まれることがあります。 また、営業外費用には支払利息などが含まれることが多いです。



営業利益がプラスでも借入金額が多額なため支払利息の負担が重いために経常利益がマイナスのこともありますし、 本業の営業利益がマイナスでも補助金を得たために経常利益がプラスになることもあります。

このように経常利益は、営業活動で得た儲けと、営業と関係のない財務活動による損益を加減算した後の経営状況を示す指標となっています。



当期純利益

当期純利益は、以下の計算式で求めることができます。

経常利益+特別利益ー特別損失ー税金=当期純利益



経常利益に、一時的や臨時的に発生した損益を加減算した後の儲けを「税引き前当期純利益」と言います。

一時的や臨時的に発生する損益には様々なものがありますが、不動産の売買などにより固定資産売却益や売却損、除却損として計上することがあります。



本業の営業活動や財務活動以外の投資活動による損益を加減算した後の経営状況を表しているのが「税引き前当期純利益」と考えていただければ良いと思います。

そこから、税金を引いた残りが「当期純利益」となります。なお、当期純利益は最終利益(最終損失)と言われることがあります。



様々な利益についてご紹介しましたが、企業経営においては営業利益(本業の営業活動から得た利益)を安定的に確保することや増やすことが最も重要となります。

一過性の補助金で最終利益がプラスになったとしても補助金などの制度が廃止されれば、赤字になってしまうようであれば、それはビジネスモデルとは言えないためです。



まだ見ていない方はこちらのコラムもご覧ください。



雑貨屋さんの損益計算書

雑貨屋さんのおさらい

<初期投資>

業務に必要なPCやレジとして60万円

店舗の敷金として200万円

スタッフの採用費として50万円

オープンの広告宣伝費として100万円

その他初期投資として40万円(すべて設備)





<ひと月の金額>

>ひと月の売上高

・仕入れた商品を250万円で販売



>ひと月の費用

・商品仕入で150万円

・従業員給与で20万円

・家賃で20万円

・その他費用10万円(利息含む)



>ひと月の利益

売上高250万円ー費用200万円=利益50万円



>ひと月のその他支払い 借入金返済10万円

※減価償却費は考慮していません。



雑貨屋さんの当期純利益

突然、問題です。

上記、雑貨屋さんの1年後(12月末迄)の当期純利益はいくらでしょうか。



前提条件

・1月に初期投資

・ひと月の金額は1月から12月の12カ月分

・仕入れた物は同じ月で完売

・減価償却費と棚卸資産は考慮しない

・利息は月1万円

・税金は30%

※現実では、毎月同じ売上高や経費ということはありませんが分かりやすく毎月同じ金額とします。















早速、どうなるか見てみましょう!



>売上高

月売上250万円×12カ月=3000万円



>売上原価

月仕入150万円×12カ月=1800万円

※棚卸資産は考慮していません。



>売上総利益

3000万円ー1800万円=1200万円



>販売管理費

人件費:初期採用50万円+月給与20万円×12カ月=290万円

月家賃20万円×12カ月=240万円

広告宣伝費:初期広告100万円

月その他費用(10万円ー利息1万円)×12カ月=108万円

合計=738万円



>営業利益

売上総利益1200万円ー販売管理費738万円=462万円



>経常利益

営業利益462万円ー利息1万円×12カ月=450万円



>当期純利益

経常利益450万円ー税金135万円(450×30%)=315万円



答え:315万円



皆さまの答えは如何でしたでしょうか。



このように年商は3000万円でも最終利益は315万円となります。 この例では、経営者は給料をもらっていません。 このビジネスモデルの場合にはさらに売上を拡大させる必要がありそうですね!



おわりに

この度は、コラムをご覧いただきありがとうございました。 少し難しい用語も使ってしまいましたが、なるべく分かりやすい言葉で経営に役立つ情報発信していこうと思っています。 今後の発信もお楽しみに!